裁判

子どもの治療費のために養育費の増額を請求できるのでしょうか?

子供の医療費

離婚当時に取り決めた養育費の額を増額してもらえたらと考える場面に出会うことがあります。
乳幼児の時には全く想像もしなかった重い病などに子が罹ってしまった時などは、特にそう感じることともいます。

離婚時に将来子どもが完治の難しい病気や、障害の残るようなケガを負うなんて事まで想定して額を決めたりは、なかなかしないものです。
しかし、現実に離婚後に子どもが病気にかかり医療費がかさむようになると、何とか養育費を値上げしてもらえないかと願うものです。

とにかく別れたい一心で金額の事は二の次に

離婚の時は、スムーズに話が進まないことがあります。
相手の顔を見るのも嫌なくらいで、今すぐにでも別れたい!という状況下であれば、養育費を受け取るか否かくらいの話にとどまり、金額の事までしっかりと話し合いをせずに離婚してしまうこともあると思います。

当時は病気になった場合の事まで考えが及ばず、最低限の金額で養育費の金額を決めてしまうことも多いのです。
そして、後になって当時取り決めた養育費の額ではやっていけないことを痛感するのです。

再婚していないなら医療費助成制度を利用して

病気などになりお金がかかって悩んでいるのであれば、まずは行政に頼るのが先決です。

もし、再婚をしていない状況なのであれば、自治体が医療費を負担してくれる制度を受けることができます。

自治体によって異なりますが、ひとり親家庭等医療費助成制度などで医療費の軽減措置を受けると、負担する費用を抑えることができます。ただし、健康保険や社会保険などに加入していることやひとり親であることなどが条件となることや、その親の所得によっては制限があります。

生活保護を受けている場合は、この制度を利用できませんので注意が必要です。
上記の条件にあてはまるようであれば、まずはお住まいの市区町村の担当部署を訪ねてみてください。

親が健康保険に加入していない場合は

国民健康保険や社会保険などの医療保険制度に加入していないという場合は、上記のような制度を受けることができません。
また、治療にかかる医療費や薬代などの負担額も、10割を負担して支払うことになります。

医療保険制度に加入していれば、各自治体で医療費を助成してもらえるのに対し、全額負担となると難病などの治療の場合は莫大な金額がかかることになります。
一部の指定難病などの特定医療や高額医療などにおいては、新たな法律により医療費が助成される自治体もあります。

それでもすべての病気が対象というわけではないのが現状ですし、入院などになると医療費以外の費用を負担することになります。

知らないと損をすることも

ちなみにこれら自治体の助成制度などは、自らが調べたり行政機関に聞かないと知る機会がないことが多いです。
そのため、本当は支払わなくても済んだりした費用もあったりと、結果的に損をしている人がいるのです。

あなたのお子さんはこういう病気だから、こういった制度がありますよとは自治体は教えてくれないのです。

できることなら養育費の増額をお願いしましょう

様々な医療費助成制度を利用しても、やはり負担があることには変わりません。

養育費を受け取っていても苦しい状況なのであれば、増額をお願いしてみてはどうでしょうか?
まずは、相手に事情を説明して値上げを交渉してみるのがベストです。

もし、話し合いの場が持てなかったり交渉がうまくいかない場合は、裁判所に養育費の値上げについて相談し、審判の場を設けてもらいましょう。
養育費の増額については、その正当性が審査されますが難病などで医療費がかかるという状況なら、認められる可能性も高くなります。

もちろん相手の経済状況なども審査の対象となりますので、一概には言えませんが改めて適切な養育費の額を決めることとなります。
離婚をして離れたとはいっても、親であることには変わりがありません。

できることならば有事の時だけでなく、子どもの状況は変化があるごとに情報共有して、共に見守っていくことも大切なことだと思います。

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